Vol.10 『ヒマラヤのように雄大な心を養おう』
ケン先生からとっても大切なあなたへの贈りもの
早いもので、今年最後の連載となりました。受け入れるということについてさまざまな観点からお話ししてきましたが、新しい場所での経験はその練習にもなります。
今年の10月に、ネパールのポカラで10日間のティーチャーズトレーニングを開催しました。ヒマラヤ山脈を望むことができるポカラは、ヨーロッパなどから多くの観光客が訪れる、美しい街です。
私たち一行は、湖のほとりの快適なホテルに宿泊し、屋上で毎朝5時から10時まで練習に励みました。練習をスタートする頃はまだ夜明け前なので、暗闇のなかでアーサナと向き合ったり、だんだんと山頂が赤みを帯びると太陽が昇ってきたことを知り、太陽礼拝を始めたり―。
近くの木には白い鳥が何百羽も眠っていて、日の出とともに飛び立つと、まるで花が咲いているかのように美しい光景でした。
山、水、土、空気 ― 時とともに変化する自然の中で練習をしたことで、自分を見つめる時間も待てたように思います。
なぜポカラを会場として選んだのかというと、普段は行けないような場所に身を置くことで、フレッシュな感覚を得、そこでの生活をどう楽しむかを、ひとりひとりに考えてほしかったからなのです。
ですから、午前中の練習後は自由時間にしました。トレッキングやパラグライダー、ラフティングなどのアクティビティを体験する人もいれぱ、街へ出てショッピングを楽しんだりする人もいて、それぞれ楽しく過ごしていたようです。
一日中ヨガの練習をすると、ほかのことに目を向けなくなってしまいがちです。ヨガの練習に余裕を待って取り組めば、自分の生活を一回見直すことができ、帰ったときの自分の在り方が、少しでも前向きになるはずです。
文化が違えば、想像もつかないことが起こります。買い物ひとつとっても、ポカラでは値切って交渉するのが当たり前。ものごとの進む方向が分からない状況において、どのように対処するかは、じつはヨガの練習です。
私は、今回のティーチャーズトレーニングの最後に、このようなメッセージを参加者に贈りました。
単なるポーズやヨガの知識を学ぶだけではなく、ヒマラヤの山々のように、雄大で広い心を養おう。小さいことや細かいことにこだわらず、何事にも前向きに、自分自身を信頼して、先の見えない道を、勇気を持って進んでいこう。
今年は先行きが見えない、不安な一年でした。来年も何が起こるかは分かりません。でも、結果を恐れることなく一歩を踏み出し、ヒマラヤの山々のように大らかな気持ちで過ごしましょう。
そして、自分だけのヨガを見つけてみましょう。自分に合ったヨガを創造するために、さらに意識を広げて、受け入れる心を育みましょう。
素敵な年末年始をお過ごしください。
いつでもみなさんの幸せを祈っているケンより
愛を込めて♥
日本を代表するヨガ指導者であるケン・ハラクマ先生が、すべてのヨギ& ヨギーニに贈る、心温まる言葉のギフト。
ヨガジャーナル日本版 Vol.14 p.21より