Vol.6 『勇気を持ってスタートしよう!』
ケン先生からとっても大切なあなたへの贈りもの
春は新しいことをスタートするのに、最適な季節です。自然界を見ても、動物たちは冬の間はじっとしてエネルギーを温存し、木々が芽吹いて暖かくなると、エネルギーを解放して活動を始めます。とくに日本は四季がはっきりしていますから、自然の移ろいに合わせて体を順応させるのはとても健康的なことです。卒業式や入学式が春に行われるのも、自然の摂理にかなっています。
でも、何かをスタートするとき、新しい環境への緊張感で心がいっぱいになり、不安を抱いてしまうことはないでしようか、私たちは成長するなかでさまざまな環境の変化を経験し、それが自己の形成につながっています。異なる場所に身を置くことで価値観が広がり、自分を成長させることもできるでしよう。でも、スタートの時期に、人間関係で問題を抱えてしまう人がいます。
たとえば、
- 職場(学校) の雰囲気になじめない
- 新しい仲間や環境のマイナス面ばかり想像して、心を閉ざしてしまう
- よい関係をつくろうと気疲れして、ストレスがたまる
というように、つらさを感じてしまうのです。
それとは反対に、
- 周囲の人々とも自然に打ち解け、信頼関係を築ける
- 新しい環境で学ぶことが、自分の喜びにつながる
- 自分の立ち位置を把握し、環境に順応できる
というように上手に対処できれば、心地よくスタートを切ることができます。
つらさを感じてしまう大きな原因は、これまでの経験から感じている、人間関係への不安です。しかし、程度の差こそあれ、誰もが不安を抱いているもの。ネガティブな部分ばかり考えずに、前へ進んでみましょう。
また、これまでの人間関係もリセットしたい、と思うかもしれません。でも、自分の気持ちを整理することに時間をかけすぎると、せっかくのスタートのチャンスを逃してしまうこともあります。
まず思いついたら始めてみてはどうでしょう。そのファーストステップは、新しい環境のなかで、どう自分の思いを素直に表現するか。その結果、周囲からいろいろな反応があると思いますが、それにどう対処するかを考えるのは、次のステップでいいのです。
花々のつぼみがふくらみ始める季節です。自分の心にチャレンジしたいことがあるのなら、その気持ちを大切に咲かせてあげましょう。
でも、周りは花が咲くように活性化しているけれど、自分はまだ静かにしていたい、という人もいますよね。もちろん、無理に何かをスタートする必要はありません。人生にはそのようなときが何回もありますから。周囲のざわつきうっとうしいなと感じてしまうときは、自分は、今はスタートの時期ではないことを受け入れ、それと同時に周囲の変化も理解しましょう。そうすれば、気持ちがずいぶんと楽になります。
反対に、スタートしたほうがいいと人にも勧めたとき、相手が同調してくれないこともあります。なぜ新しいことに挑戦しないのか、とイライラするのではなく、現状を維持したい、いまはそっとしておいてほしい、と思っている人も認めてあげましよう。
開花する前に、自分の可能性の芽をつんでしまっては、もったいない!間違っても、出来なくても、いいじゃない!こわがらないで勇気を持ってスタートしよう!
それでも、最初の一歩が踏み出せないときは、私が心の中でいつでもあなたを応援していることを、思い出してください。あなたの背中をそっと押してあげますからね。
心より愛を込めて。
ケン
日本を代表するヨガ指導者であるケン・ハラクマ先生が、すべてのヨギ& ヨギーニに贈る、心温まる言葉のギフト。
ヨガジャーナル日本版 Vol.10 p.21より